Ⅰ.5 環境問題全般に関すること

 

光化学オキシダント

 

光化学オキシダント
工場の煙や自動車の排気ガスなどに含まれている窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)が、太陽からの紫外線を受けて光化学反応を起こし、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートが生成され、これらの酸化力の強い物質を総称して、オキシダントあるいは光化学オキシダントという。また、これらの物質からできたスモッグを光化学スモッグという。

 

光化学オキシダントの環境基準の達成状況
(1)光化学オキシダントには, 1 時間値が 0.06ppm 以下という環境基準が設定 されている。
(2)光化学オキシダントの 1 時間値の年間最高値が 0.12 ppm 以上の測定局は, 最近 5 年間(平成 21 ~ 25 年度)では減少現象する傾向にある。
(3)光化学オキシダントの主成分はオゾンで,90%以上を占めている。
(4)1時間値の年間最高値を環境基準と比較して評価を行うものとされている。

成層圏オゾン層を破壊する原因

フロンによるオゾン層の破壊 
1970年代半ば、人工的に作り出された物質であるクロロフルオロカーボン類(CFC 類:フロンとも呼ばれます)がオゾン層を破壊する可能性が指摘されました。 フロンの多くは、かつてはエアコン、冷蔵庫、スプレーなどに使われ、大気中に大量に放出されていました。 フロンは、地上付近では分解しにくい性質をもっているため、大気の流れによって成層圏にまで達します。

 

・オゾンは主に波長 320nm「以下」の光を吸収して分解する。
・太陽からの強い紫外線によって酸素分子が解離して酸素原子となり,これが 酸素分子と反応してオゾンが生成する。
・塩素原子,臭素原子によってオゾンが連鎖的に分解する。
・塩素原子,臭素原子は,成層圏に到達したクロロフルオロカーボン,ハイド ロクロロフルオロカーボン,ハロンなどが強い紫外線で分解されて生成する。

四大公害病

四大公害病(イタイイタイ病、水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそく)
・足尾鉱山鉱毒事件・カネミ油症は四大公害に含まない。

 

 

ダイオキシン類問題

ダイオキシン類対策特別措置法 第1条 
この法律は、ダイオキシン類が人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある物質であることにかんがみ、ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等をするため、ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準を定めるとともに、必要な規制、汚染土壌に係る措置等を定めることにより、国民の健康の保護を図ることを目的とする。

 

(1)POPsとは何か 
毒性が強く,残留性,生物蓄積性,長距離にわたる環境における移動の可能性,人の健康又は環境への悪影響を有する化学物質のこと(ダイオキシン類,PCB(ポリ塩化ビフェニル),DDT等)。

温暖化・会議・京都議定書・COP・IPCC

京都議定書
気候変動枠組み条約に実効性を持たせるため、1997年12月に京都で開かれた第3回締約国会議(COP3)で採択された議定書。
京都議定書で排出量削減目標が定められた温室効果ガスは以下の6種類

IPCC 第 4 次評価報告書において,地球温暖化に伴い起こると予測されている様々な影響に関する記述として,誤っているものはどれか。(公害総論 2019年 第8問より)
⑴ サンゴの白化の増加
⑵ 熱波,洪水,干ばつによる罹り病率と死亡率の増加
⑶ 数億人が水不足の深刻化に直面
⑷ 湿潤熱帯地域と高緯度地域での水利用可能性の増加
⑸ 低緯度地域における穀物生産性の低下

 

水質汚濁、BOD、COD、水質環境問題

 

有害大気汚染物質

浮遊粒子状物質(SPM)
浮遊粉じんの中でも自然界と人為的な発生源から排出された粒径100マイクロメートル以下のものを粒子状物質(PM:Particulate Matter)といい、さらにその中でも粒径が10マイクロメートル以下(1マイクロメートル=0.001ミリメートル)のもので長期間浮遊し、人間の呼吸で肺に沈着しやすく、気道または肺胞に付着して喘息、気管支炎等の呼吸器系の障害を与えるものを浮遊粒子状物質(SPM)といい、法律で環境基準を設定しています。
降下ばいじんは大気中のすすや粉じんなど粒子状汚染物質の中で比較的粒子径の大きい沈降しやすい粒子です。
浮遊粒子状物質には、発生源から直接大気中に放出される一次粒子と、硫黄酸化物・窒素酸化物等のガス状物質が大気中で粒子状物質に変化する二次生成粒子があります。

 

 

悪臭の苦情に関する件数

悪臭防止法(あくしゅうぼうしほう)
工場やその他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭を規制することにより、悪臭防止対策を推進し、生活環境を保全、国民の健康の保護に資することを目的とする法律。

 

苦情の内訳(平成30年)
① 野外焼却が最も多く 3,223 件(全体の 25.6%)
➁ サービス業・その他が 2,153 件(同 17.1%)
③ 個人住宅・アパート・寮が 1,424 件(同11.3%)

 

騒音及び振動に係る環境基準

騒音対策に関する記述として,誤っているものはどれか(H29年第12問より)
⑴ 工場等での技術的な騒音対策では,主として距離減衰効果(距離だけではない)が利用されている。
⑵ 自動車単体から発生する騒音を減らすために,加速走行騒音規制などが実施されている。
⑶ 成田国際空港では,緊急時等を除き夜間の航空機の発着が禁止されている。
⑷ 鉄道騒音対策として,レール削正の深度化などが実施されている。
⑸ 近隣騒音対策として,拡声機騒音については,条例等により規制が行われている。

騒音・振動公害の白書について(平成27年以降)

産業廃棄物の排出量

一般廃棄物に関する記述として,誤っているものはどれか。(公害総論 R2年第13問より)

 

⑴ 一般廃棄物とは,法令で指定された産業廃棄物以外の廃棄物のことをいう。
⑵ 「事業系ごみ」でも,その廃棄物の種類が法令に指定されていなければ,一般廃棄物である。⑶ 一般廃棄物については,原則として排出される区域の市町村が処理責任を負う
⑷ 2017(平成 29)年度の一般廃棄物(ごみ)の排出量は, 1 人 1 日当たり約 920 gであった。
⑸ 2017(平成 29)年度の全国における一般廃棄物処理では,焼却,破砕・選別等による最終処理量は約 386 万 tであった。

産業廃棄物排出量

 

マイクロプラスチック

環境中に存在する微小なプラスチック粒子であり、特に海洋環境において極めて大きな懸念材料となっている。一般には、直径 5 mm 未満のプラスチック粒子または、プラスチック断片と定義されている。海洋研究者の一部は1 mmよりも小さい顕微鏡サイズの全てのプラスチック粒子と定義している。

 

海洋環境の現状に関する記述として,誤っているものはどれか。(R3年 第11問より)
⑴ 海上保安庁の「平成 31 年/令和元年の海洋汚染の現状について」によると,汚染原因件数の割合が最も高かったのは,油であった。
⑵ 環境省の「平成 30 年度海洋環境モニタリング調査結果」によると,底質,生体濃度及び生物群集の調査において一部で高い値が検出されたが,全体としては海洋環境が悪化している状況は認められなかった
⑶ 近年,マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されている。
⑷ マイクロプラスチックとは, 5 µm 5mm以下の微細なプラスチックごみのことである。
⑸ マイクロプラスチックに吸着しているポリ塩化ビフェニル(PCB)等の有害化学物質の量等を定量的に把握するための調査が実施されている。

 

揮発性有機化合物(VOC)

常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称のことである(VOC)

 

トルエン、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなどを指し、これらは溶剤、燃料として重要な物質であることから、幅広く使用されている。
環境中へ放出されると、ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群や化学物質過敏症が社会に広く認知され、問題となっている。 
光化学オキシダントと浮遊粒子状物質の主な原因であるとして、2004年5月26日、改正大気汚染防止法により主要な排出施設への規制が行われることとなった。

 

環境配慮(調和)型製品

環境配慮(調和)型製品に関する記述として,誤っているものはどれか。(R1年第15問より)

⑴ 環境配慮設計は,製品の設計開発において製品の本来機能と環境側面を適切に統合する設計手法である。
⑵ 環境配慮設計の取組みを効果的にするためには,製品のライフサイクル全般に対する考慮やマネジメントが実施される必要がある。
⑶ 製品の設計,製造に当たっては,3R(リデュース・リユース・リサイクル)への配慮が重要である。
⑷ タイプⅢ環境ラベルは,産業界又は独立団体が ISO 14025 に従って,事前に設定されたパラメーター領域について製品の環境データを表示するものである。
⑸ タイプⅡ環境ラベルは,ISO 14021 による独立した第三者による認証を必要としない自己宣言による環境主張であり,企業によって最も活用されている


環境ラベルの国際規格

タイプⅠ:第三者機関が認証したシンボルマークで表わすタイプ
タイプⅡ:企業が自ら環境配慮を主張する自己宣言
タイプⅢ:製品のライフサイクル全体の定量的環境情報