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環境基本法 第1章

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(環境の恵沢の享受と継承等)
第三条 環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
(環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等)
第四条 環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。
(国際的協調による地球環境保全の積極的推進)
第五条 地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみ、地球環境保全は、我が国の能力を生かして、及び国際社会において我が国の占める地位に応じて、国際的協調の下に積極的に推進されなければならない。
(国の責務)
第六条 国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第七条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第八条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(国民の責務)
第九条 国民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(環境の日)
第十条 事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、環境の日を設ける。
2 環境の日は、六月五日とする。
3 国及び地方公共団体は、環境の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。
(法制上の措置等)
第十一条 政府は、環境の保全に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(年次報告等)
第十二条 政府は、毎年、国会に、環境の状況及び政府が環境の保全に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、前項の報告に係る環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
 

環境基本法 第2章

第二章 環境の保全に関する基本的施策

 

第一節 施策の策定等に係る指針
第十四条 この章に定める環境の保全に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。
一 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
二 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
三 人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。

第二節 環境基本計画
第十五条 政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
二 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 環境大臣は、中央環境審議会の意見を聴いて、環境基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 環境大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、環境基本計画を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

  第三節 環境基準
第十六条 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
2 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。
一 二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの 政府
二 前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該イ又はロに定める者
イ 騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの その地域が属する市の長
ロ イに掲げる地域以外の地域又は水域 その地域又は水域が属する都道府県の知事
3 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
4 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。

 

第四節 特定地域における公害の防止
(公害防止計画の作成)
第十七条
 都道府県知事は、次のいずれかに該当する地域について、環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。
一 現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域
二 人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域
(公害防止計画の達成の推進)
第十八条 国及び地方公共団体は、公害防止計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。
第五節 国が講ずる環境の保全のための施策等
(国の施策の策定等に当たっての配慮)
第十九条 国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。

 

環境基本法 第3章

第三章 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関等

第一節 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関 
(中央環境審議会)
第四十一条 環境省に、中央環境審議会を置く。
2 中央環境審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 環境基本計画に関し、第十五条第三項に規定する事項を処理すること。
二 環境大臣又は関係大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する重要事項を調査審議すること。
三 自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和四十五年法律第百三十九号)、自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和四十八年法律第百十号)、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)、ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)、循環型社会形成推進基本法(平成十二年法律第百十号)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成十二年法律第百十六号)、使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成十四年法律第八十七号)、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)、生物多様性基本法(平成二十年法律第五十八号)、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(平成二十年法律第八十三号)、水銀による環境の汚染の防止に関する法律(平成二十七年法律第四十二号)及び気候変動適応法(平成三十年法律第五十号)によりその権限に属させられた事項を処理すること。
3 中央環境審議会は、前項に規定する事項に関し、環境大臣又は関係大臣に意見を述べることができる。
4 前二項に定めるもののほか、中央環境審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他中央環境審議会に関し必要な事項については、政令で定める。
第四十二条 削除
(都道府県の環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関)
第四十三条 都道府県は、その都道府県の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、環境の保全に関し学識経験のある者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置く。
2 前項の審議会その他の合議制の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、その都道府県の条例で定める。 (市町村の環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関)
第四十四条 市町村は、その市町村の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、その市町村の条例で定めるところにより、環境の保全に関し学識経験のある者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置くことができる。

 

第二節 公害対策会議 (設置及び所掌事務)
第四十五条 環境省に、特別の機関として、公害対策会議(以下「会議」という。)を置く。
2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 公害の防止に関する施策であって基本的かつ総合的なものの企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。
二 前号に掲げるもののほか、他の法令の規定によりその権限に属させられた事務 (組織等)
第四十六条 会議は、会長及び委員をもって組織する。
2 会長は、環境大臣をもって充てる。
3 委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第九条第一項に規定する特命担当大臣及びデジタル大臣のうちから、環境大臣の申出により、内閣総理大臣が任命する。
4 会議に、幹事を置く。
5 幹事は、関係行政機関の職員のうちから、環境大臣が任命する。
6 幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
7 前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

附 則
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四十三条及び第四十四条の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 

地下水の水質汚濁に係る環境基準

地下水の水質汚濁に係る環境基準に関する記述中,下線を付した箇所のうち,誤っているものはどれか。(R3年第1問より)
地下水の水質の測定の実施は,別表の項目の欄に掲げる項目ごとに,地下水の流動状況等を勘案して,当該項目に係る地下水の水質汚濁の状況を的確に把握できると認められる場所において行うものとする。環境基準は,設定後直ちに達成され維持されるように努めるものとする(ただし,汚染が専ら自然的原因によることが明らかであると認められる場合を除く。)。
地下水の水質汚濁に係る環境基準に関する(R1年第1問より)
「ふっ素」及び「ほう素」は自然状態において海域に相当程度含まれており、今回の環境基準改正においても海域にはこれらの基準を適用しない旨明記されている。海水と陸水の混じり合う汽水域においては、形式上、環境基準を適用するが、下記の方法により海水の影響のみで基準値を超えると判断される測定点については、測定回数を減じても差し支えない。

 

第三節 環境基準 第十六条

 

水質汚濁防止法 第一章 総則

 第一章 総則
(目的)
第一条 
この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によつて、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。以下同じ。)の防止を図り、もつて国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。

 

 

(定義)
第二条
 この法律において「公共用水域」とは、河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠こうきよ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路(下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第三号及び第四号に規定する公共下水道及び流域下水道であつて、同条第六号に規定する終末処理場を設置しているもの(その流域下水道に接続する公共下水道を含む。)を除く。)をいう。
2 この法律において「特定施設」とは、次の各号のいずれかの要件を備える汚水又は廃液を排出する施設で政令で定めるものをいう。
一 カドミウムその他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質(以下「有害物質」という。)を含むこと。
二 化学的酸素要求量その他の水の汚染状態(熱によるものを含み、前号に規定する物質によるものを除く。)を示す項目として政令で定める項目に関し、生活環境に係る被害を生ずるおそれがある程度のものであること。
3 この法律において「指定地域特定施設」とは、第四条の二第一項に規定する指定水域の水質にとつて前項第二号に規定する程度の汚水又は廃液を排出する施設として政令で定める施設で同条第一項に規定する指定地域に設置されるものをいう。
4 この法律において「指定施設」とは、有害物質を貯蔵し、若しくは使用し、又は有害物質及び次項に規定する油以外の物質であつて公共用水域に多量に排出されることにより人の健康若しくは生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの(第十四条の二第二項において「指定物質」という。)を製造し、貯蔵し、使用し、若しくは処理する施設をいう。 5 この法律において「貯油施設等」とは、重油その他の政令で定める油(以下単に「油」という。)を貯蔵し、又は油を含む水を処理する施設で政令で定めるものをいう。
6 この法律において「排出水」とは、特定施設(指定地域特定施設を含む。以下同じ。)を設置する工場又は事業場(以下「特定事業場」という。)から公共用水域に排出される水をいう。
7 この法律において「汚水等」とは、特定施設から排出される汚水又は廃液をいう。
8 この法律において「特定地下浸透水」とは、有害物質を、その施設において製造し、使用し、又は処理する特定施設(指定地域特定施設を除く。以下「有害物質使用特定施設」という。)を設置する特定事業場(以下「有害物質使用特定事業場」という。)から地下に浸透する水で有害物質使用特定施設に係る汚水等(これを処理したものを含む。)を含むものをいう。
9 この法律において「生活排水」とは、炊事、洗濯、入浴等人の生活に伴い公共用水域に排出される水(排出水を除く。)をいう。

 

水質汚濁防止法 第二章 排出水の排出の規制等

第二章 排出水の排出の規制等
(排水基準)
第三条 
排水基準は、排出水の汚染状態(熱によるものを含む。以下同じ。)について、環境省令で定める。
2 前項の排水基準は、有害物質による汚染状態にあつては、排出水に含まれる有害物質の量について、有害物質の種類ごとに定める許容限度とし、その他の汚染状態にあつては、前条第二項第二号に規定する項目について、項目ごとに定める許容限度とする。
3 都道府県は、当該都道府県の区域に属する公共用水域のうちに、その自然的、社会的条件から判断して、第一項の排水基準によつては人の健康を保護し、又は生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域に排出される排出水の汚染状態について、政令で定める基準に従い、条例で、同項の排水基準にかえて適用すべき同項の排水基準で定める許容限度よりきびしい許容限度を定める排水基準を定めることができる。
4 前項の条例においては、あわせて当該区域の範囲を明らかにしなければならない。
5 都道府県が第三項の規定により排水基準を定める場合には、当該都道府県知事は、あらかじめ、環境大臣及び関係都道府県知事に通知しなければならない。
(排水基準に関する勧告)
第四条
 環境大臣は、公共用水域の水質の汚濁の防止のため特に必要があると認めるときは、都道府県に対し、前条第三項の規定により排水基準を定め、又は同項の規定により定められた排水基準を変更すべきことを勧告することができる。
(総量削減基本方針)
第四条の二 環境大臣は、人口及び産業の集中等により、生活又は事業活動に伴い排出された水が大量に流入する広域の公共用水域(ほとんど陸岸で囲まれている海域に限る。)であり、かつ、第三条第一項又は第三項の排水基準のみによつては環境基本法(平成五年法律第九十一号)
第十六条第一項の規定による水質の汚濁に係る環境上の条件についての基準(以下「水質環境基準」という。)の確保が困難であると認められる水域であつて、第二条第二項第二号に規定する項目のうち化学的酸素要求量その他の政令で定める項目(以下「指定項目」という。)ごとに政令で定めるもの(以下「指定水域」という。)における指定項目に係る水質の汚濁の防止を図るため、指定水域の水質の汚濁に関係のある地域として指定水域ごとに政令で定める地域(以下「指定地域」という。)について、指定項目で表示した汚濁負荷量(以下単に「汚濁負荷量」という。)の総量の削減に関する基本方針(以下「総量削減基本方針」という。)を定めるものとする。
2 総量削減基本方針においては、削減の目標、目標年度その他汚濁負荷量の総量の削減に関する基本的な事項を定めるものとする。この場合において、削減の目標に関しては、当該指定水域について、当該指定項目に係る水質環境基準を確保することを目途とし、第一号に掲げる総量が目標年度において第二号に掲げる総量となるように第三号の削減目標量を定めるものとする。
一 当該指定水域に流入する水の汚濁負荷量の総量
二 前号に掲げる総量につき、政令で定めるところにより、当該指定地域における人口及び産業の動向、汚水又は廃液の処理の技術の水準、下水道の整備の見通し等を勘案し、実施可能な限度において削減を図ることとした場合における総量
三 当該指定地域において公共用水域に排出される水の汚濁負荷量についての発生源別及び都道府県別の削減目標量(中間目標としての削減目標量を定める場合にあつては、その削減目標量を含む。)
3 環境大臣は、第一項の水域を定める政令又は同項の地域を定める政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は、総量削減基本方針を定め、又は変更しようとするときは、関係都道府県知事の意見を聴くとともに、公害対策会議の議を経なければならない。
5 環境大臣は、総量削減基本方針を定め、又は変更したときは、これを関係都道府県知事に通知するものとする。
(総量削減計画)
第四条の三 都道府県知事は、指定地域にあつては、総量削減基本方針に基づき、前条第二項第三号の削減目標量を達成するための計画(以下「総量削減計画」という。)を定めなければならない。
2 総量削減計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 発生源別の汚濁負荷量の削減目標量 二 前号の削減目標量の達成の方途 三 その他汚濁負荷量の総量の削減に関し必要な事項
3 都道府県知事は、総量削減計画を定めようとするときは、関係市町村長の意見を聴くとともに、環境大臣に協議しなければならない。
4 環境大臣は、前項の協議を受けたときは、公害対策会議の意見を聴かなければならない。
5 都道府県知事は、総量削減計画を定めたときは、その内容を公表するよう努めなければならない。
6 前三項の規定は、総量削減計画の変更について準用する。
(総量削減計画の達成の推進)
第四条の四
 国及び地方公共団体は、総量削減計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(総量規制基準)
第四条の五
 都道府県知事は、指定地域にあつては、指定地域内の特定事業場で環境省令で定める規模以上のもの(以下「指定地域内事業場」という。)から排出される排出水の汚濁負荷量について、総量削減計画に基づき、環境省令で定めるところにより、総量規制基準を定めなければならない。
2 都道府県知事は、新たに特定施設が設置された指定地域内事業場(工場又は事業場で、特定施設の設置又は構造等の変更により新たに指定地域内事業場となつたものを含む。)及び新たに設置された指定地域内事業場について、総量削減計画に基づき、環境省令で定めるところにより、それぞれ前項の総量規制基準に代えて適用すべき特別の総量規制基準を定めることができる。
3 第一項又は前項の総量規制基準は、指定地域内事業場につき当該指定地域内事業場から排出される排出水の汚濁負荷量について定める許容限度とする。
4 都道府県知事は、第一項又は第二項の総量規制基準を定めるときは、公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
(特定施設等の設置の届出)
第五条
 工場又は事業場から公共用水域に水を排出する者は、特定施設を設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、次の事項(特定施設が有害物質使用特定施設に該当しない場合又は次項の規定に該当する場合にあつては、第五号を除く。)を都道府県知事に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 工場又は事業場の名称及び所在地
三 特定施設の種類
四 特定施設の構造
五 特定施設の設備
六 特定施設の使用の方法
七 汚水等の処理の方法
八 排出水の汚染状態及び量(指定地域内の工場又は事業場に係る場合にあつては、排水系統別の汚染状態及び量を含む。)
九 その他環境省令で定める事項
2 工場又は事業場から地下に有害物質使用特定施設に係る汚水等(これを処理したものを含む。)を含む水を浸透させる者は、有害物質使用特定施設を設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 工場又は事業場の名称及び所在地
三 有害物質使用特定施設の種類
四 有害物質使用特定施設の構造
五 有害物質使用特定施設の使用の方法
六 汚水等の処理の方法
七 特定地下浸透水の浸透の方法
八 その他環境省令で定める事項
3 工場若しくは事業場において有害物質使用特定施設を設置しようとする者(第一項に規定する者が特定施設を設置しようとする場合又は前項に規定する者が有害物質使用特定施設を設置しようとする場合を除く。)又は工場若しくは事業場において有害物質貯蔵指定施設(指定施設(有害物質を貯蔵するものに限る。)であつて当該指定施設から有害物質を含む水が地下に浸透するおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、環境省令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 工場又は事業場の名称及び所在地
三 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の構造
四 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の設備
五 有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設の使用の方法
六 その他環境省令で定める事項
(経過措置)
第六条
 一の施設が特定施設(指定地域特定施設を除く。以下この項において同じ。)となつた際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)であつて排出水を排出し、若しくは特定地下浸透水を浸透させるもの又は一の施設が有害物質使用特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設となつた際現にその施設を設置している者(当該有害物質使用特定施設に係る特定事業場から排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者を除き、設置の工事をしている者を含む。)は、当該施設が特定施設又は有害物質貯蔵指定施設となつた日から三十日以内に、それぞれ、環境省令で定めるところにより、前条第一項各号、第二項各号又は第三項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。この場合において、当該施設につき既に指定地域特定施設についての前条第一項又は次項(瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和四十八年法律第百十号)第十二条の二の規定又は湖沼水質保全特別措置法(昭和五十九年法律第六十一号)第十四条の規定によりこれらの規定が適用される場合を含む。)の規定による届出がされているときは、当該届出をした者は、当該施設につきこの項の規定による届出をしたものとみなす。
2 一の施設が指定地域特定施設となつた際現に指定地域においてその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。以下この項において同じ。)又は一の地域が指定地域となつた際現にその地域において指定地域特定施設を設置している者であつて、排出水を排出するものは、当該施設が指定地域特定施設となつた日又は当該地域が指定地域となつた日から三十日以内に、環境省令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。この場合において、当該施設につき既に湖沼水質保全特別措置法第十四条の規定により指定地域特定施設とみなされる施設についての同条の規定により適用される前条第一項又はこの項の規定による届出がされているときは、当該届出をした者は、当該施設につきこの項の規定による届出をしたものとみなす。
3 第四条の二第一項の地域を定める政令の施行の際現に当該地域において特定施設を設置している者(設置の工事をしている者及び前条の規定による届出をした者であつて設置の工事に着手していないものを含む。)であつて排出水を排出するものは、当該政令の施行の日から六十日以内に、環境省令で定めるところにより、排出水の排水系統別の汚染状態及び量を都道府県知事に届け出なければならない。
(特定施設等の構造等の変更の届出)
第七条
 第五条又は前条の規定による届出をした者は、その届出に係る第五条第一項第四号から第九号までに掲げる事項、同条第二項第四号から第八号までに掲げる事項又は同条第三項第三号から第六号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(計画変更命令等)
第八条
 都道府県知事は、第五条第一項若しくは第二項の規定による届出又は前条の規定による届出(第五条第一項第四号若しくは第六号から第九号までに掲げる事項又は同条第二項第四号から第八号までに掲げる事項の変更に係るものに限る。)があつた場合において、排出水の汚染状態が当該特定事業場の排水口(排出水を排出する場所をいう。以下同じ。)においてその排出水に係る排水基準(第三条第一項の排水基準(同条第三項の規定により排水基準が定められた場合にあつては、その排水基準を含む。)をいう。以下単に「排水基準」という。)に適合しないと認めるとき、又は特定地下浸透水が有害物質を含むものとして環境省令で定める要件に該当すると認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは汚水等の処理の方法に関する計画の変更(前条の規定による届出に係る計画の廃止を含む。)又は第五条第一項若しくは第二項の規定による届出に係る特定施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができる。
2 都道府県知事は、第五条の規定による届出があつた場合(同条第二項の規定による届出があつた場合を除く。)又は前条の規定による届出(第五条第一項第四号から第九号までに掲げる事項又は同条第三項第三号から第六号までに掲げる事項の変更に係るものに限る。)があつた場合において、その届出に係る有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設が第十二条の四の環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る有害物質使用特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の構造、設備若しくは使用の方法に関する計画の変更(前条の規定による届出に係る計画の廃止を含む。)又は第五条第一項若しくは第三項の規定による届出に係る有害物質使用特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができる。
第八条の二 都道府県知事は、第五条第一項の規定による届出又は第七条の規定による届出(同項第四号又は第六号から第九号までに掲げる事項の変更に係るものに限る。)があつた場合において、その届出に係る特定施設が設置される指定地域内事業場(工場又は事業場で、当該特定施設の設置又は構造等の変更により新たに指定地域内事業場となるものを含む。)について、当該指定地域内事業場から排出される排出水の汚濁負荷量が総量規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、当該指定地域内事業場の設置者に対し、当該指定地域内事業場における汚水又は廃液の処理の方法の改善その他必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

 

(実施の制限)
第九条
 第五条の規定による届出をした者又は第七条の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から六十日を経過した後でなければ、それぞれ、その届出に係る特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設を設置し、又はその届出に係る特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の構造、設備若しくは使用の方法若しくは汚水等の処理の方法の変更をしてはならない。
2 都道府県知事は、第五条又は第七条の規定による届出に係る事項の内容が相当であると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。
(氏名の変更等の届出)
第十条
 第五条又は第六条第一項若しくは第二項の規定による届出をした者は、その届出に係る第五条第一項第一号若しくは第二号、第二項第一号若しくは第二号若しくは第三項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又はその届出に係る特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(承継)
第十一条
 第五条又は第六条第一項若しくは第二項の規定による届出をした者からその届出に係る特定施設又は有害物質貯蔵指定施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該特定施設又は有害物質貯蔵指定施設に係る当該届出をした者の地位を承継する。
2 第五条又は第六条第一項若しくは第二項の規定による届出をした者について相続、合併又は分割(その届出に係る特定施設又は有害物質貯蔵指定施設を承継させるものに限る。)があつたときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割により当該特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設を承継した法人は、当該届出をした者の地位を承継する。
3 前二項の規定により第五条又は第六条第一項若しくは第二項の規定による届出をした者の地位を承継した者は、その承継があつた日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 指定地域内事業場を譲り受け、若しくは借り受け、又は相続、合併若しくは分割により取得した者は、第八条の二、第十三条第三項又は第十四条第三項の規定の適用については、当該指定地域内事業場の設置者の地位を承継する。
(排出水の排出の制限)
第十二条
 排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。
2 前項の規定は、一の施設が特定施設(指定地域特定施設を除く。以下この項において同じ。)となつた際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)の当該施設を設置している工場又は事業場から排出される水については、当該施設が特定施設となつた日から六月間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、一年間)は、適用しない。ただし、当該施設が特定施設となつた際既に当該工場又は事業場が特定事業場であるとき、及びその者に適用されている地方公共団体の条例の規定で前項の規定に相当するものがあるとき(当該規定の違反行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
3 第一項の規定は、一の施設が指定地域特定施設となつた際現に指定地域においてその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。以下この項において同じ。)又は一の地域が指定地域となつた際現にその地域において指定地域特定施設を設置している者の当該施設を設置している工場又は事業場から排出される水については、当該施設が指定地域特定施設となつた日又は当該地域が指定地域となつた日から一年間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、三年間)は、適用しない。ただし、当該施設が指定地域特定施設となつた際既に当該工場又は事業場が特定事業場であるとき、及びその者に適用されている地方公共団体の条例の規定で第一項の規定に相当するものがあるとき(当該規定の違反行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
(総量規制基準の遵守義務)
第十二条の二
 指定地域内事業場の設置者は、当該指定地域内事業場に係る総量規制基準を遵守しなければならない。
(特定地下浸透水の浸透の制限)
第十二条の三
 有害物質使用特定事業場から水を排出する者(特定地下浸透水を浸透させる者を含む。)は、第八条の環境省令で定める要件に該当する特定地下浸透水を浸透させてはならない。 (有害物質使用特定施設等に係る構造基準等の遵守義務)
第十二条の四 有害物質使用特定施設を設置している者(当該有害物質使用特定施設に係る特定事業場から特定地下浸透水を浸透させる者を除く。第十三条の三及び第十四条第五項において同じ。)又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者は、当該有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設について、有害物質を含む水の地下への浸透の防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準として環境省令で定める基準を遵守しなければならない。

 

 

(改善命令等)
第十三条
 都道府県知事は、排出水を排出する者が、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出するおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて特定施設の構造若しくは使用の方法若しくは汚水等の処理の方法の改善を命じ、又は特定施設の使用若しくは排出水の排出の一時停止を命ずることができる。
2 第十二条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による命令について準用する。
3 都道府県知事は、その汚濁負荷量が総量規制基準に適合しない排出水が排出されるおそれがあると認めるときは、当該排出水に係る指定地域内事業場の設置者に対し、期限を定めて、当該指定地域内事業場における汚水又は廃液の処理の方法の改善その他必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
4 前項の規定は、第二条第二項若しくは第三項の施設を定める政令、第四条の二第一項の地域を定める政令又は第四条の五第一項の規模を定める環境省令の改正により新たに指定地域内事業場となつた工場又は事業場については、当該工場又は事業場が指定地域内事業場となつた日から六月間は、適用しない。
第十三条の二 都道府県知事は、第十二条の三に規定する者が、第八条の環境省令で定める要件に該当する特定地下浸透水を浸透させるおそれがあると認めるときは、その者に対し、期限を定めて特定施設(指定地域特定施設を除く。以下この条において同じ。)の構造若しくは使用の方法若しくは汚水等の処理の方法の改善を命じ、又は特定施設の使用若しくは特定地下浸透水の浸透の一時停止を命ずることができる。
2 前項の規定は、一の施設が特定施設となつた際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)の当該施設を設置している工場又は事業場から地下に浸透する水で当該施設に係る汚水等(これを処理したものを含む。)を含むものについては、当該施設が特定施設となつた日から六月間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、一年間)は、適用しない。ただし、当該施設が特定施設となつた際既にその水が特定地下浸透水であるとき、及びその者に適用されている地方公共団体の条例でその水について同項の規定に相当するものがあるとき(当該規定による命令に違反する行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
第十三条の三 都道府県知事は、有害物質使用特定施設を設置している者又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者が第十二条の四の基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて当該有害物質使用特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の構造、設備若しくは使用の方法の改善を命じ、又は当該有害物質使用特定施設若しくは有害物質貯蔵指定施設の使用の一時停止を命ずることができる。
2 前項の規定は、第十二条の四の基準の適用の際現に有害物質使用特定施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)に係る当該有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設については、当該基準の適用の日から六月間(当該有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設が政令で定める施設である場合にあつては、一年間)は、適用しない。ただし、当該基準の適用の際その者に適用されている地方公共団体の条例の規定で同項の規定に相当するものがあるとき(当該規定による命令に違反する行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
(指導等)
第十三条の四
 都道府県知事は、指定地域内事業場から排出水を排出する者以外の者であつて指定地域において公共用水域に汚水、廃液その他の汚濁負荷量の増加の原因となる物を排出するものに対し、総量削減計画を達成するために必要な指導、助言及び勧告をすることができる。
(排出水の汚染状態の測定等)
第十四条
 排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水又は特定地下浸透水の汚染状態を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
2 総量規制基準が適用されている指定地域内事業場から排出水を排出する者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水の汚濁負荷量を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
3 前項の指定地域内事業場の設置者は、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、汚濁負荷量の測定手法を都道府県知事に届け出なければならない。届出に係る測定手法を変更するときも、同様とする。
4 排出水を排出する者は、当該公共用水域の水質の汚濁の状況を考慮して、当該特定事業場の排水口の位置その他の排出水の排出の方法を適切にしなければならない。
5 有害物質使用特定施設を設置している者又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者は、当該有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設について、環境省令で定めるところにより、定期に点検し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

 

(事故時の措置)
第十四条の二
 特定事業場の設置者は、当該特定事業場において、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質を含む水若しくはその汚染状態が第二条第二項第二号に規定する項目について排水基準に適合しないおそれがある水が当該特定事業場から公共用水域に排出され、又は有害物質を含む水が当該特定事業場から地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに、引き続く有害物質を含む水若しくは当該排水基準に適合しないおそれがある水の排出又は有害物質を含む水の浸透の防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならない。
2 指定施設を設置する工場又は事業場(以下この条において「指定事業場」という。)の設置者は、当該指定事業場において、指定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質又は指定物質を含む水が当該指定事業場から公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに、引き続く有害物質又は指定物質を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならない。
3 貯油施設等を設置する工場又は事業場(以下この条において「貯油事業場等」という。)の設置者は、当該貯油事業場等において、貯油施設等の破損その他の事故が発生し、油を含む水が当該貯油事業場等から公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに、引き続く油を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならない。
4 都道府県知事は、特定事業場の設置者、指定事業場の設置者又は貯油事業場等の設置者が前三項の応急の措置を講じていないと認めるときは、これらの者に対し、これらの規定に定める応急の措置を講ずべきことを命ずることができる。
(地下水の水質の浄化に係る措置命令等)
第十四条の三
 都道府県知事は、特定事業場又は有害物質貯蔵指定施設を設置する工場若しくは事業場(以下この条及び第二十二条第一項において「有害物質貯蔵指定事業場」という。)において有害物質に該当する物質を含む水の地下への浸透があつたことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、環境省令で定めるところにより、その被害を防止するため必要な限度において、当該特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場の設置者(相続、合併又は分割によりその地位を承継した者を含む。)に対し、相当の期限を定めて、地下水の水質の浄化のための措置をとることを命ずることができる。ただし、その者が、当該浸透があつた時において当該特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場の設置者であつた者と異なる場合は、この限りでない。
2 前項本文に規定する場合において、都道府県知事は、同項の浸透があつた時において当該特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場の設置者であつた者(相続、合併又は分割によりその地位を承継した者を含む。)に対しても、同項の措置をとることを命ずることができる。
3 特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場の設置者(特定事業場若しくは有害物質貯蔵指定事業場又はそれらの敷地を譲り受け、若しくは借り受け、又は相続、合併若しくは分割により取得した者を含む。)は、当該特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場について前項の規定による命令があつたときは、当該命令に係る措置に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第十四条の四
 事業者は、この章に規定する排出水の排出の規制等に関する措置のほか、その事業活動に伴う汚水又は廃液の公共用水域への排出又は地下への浸透の状況を把握するとともに、当該汚水又は廃液による公共用水域又は地下水の水質の汚濁の防止のために必要な措置を講ずるようにしなければならない。

 

水質汚濁防止法 第二章の二 生活排水対策の推進

第二章の二 生活排水対策の推進
(国及び地方公共団体の責務)
第十四条の五
 市町村(特別区を含む。以下この章において同じ。)は、生活排水の排出による公共用水域の水質の汚濁の防止を図るための必要な対策(以下「生活排水対策」という。)として、公共用水域の水質に対する生活排水による汚濁の負荷を低減するために必要な施設(以下「生活排水処理施設」という。)の整備、生活排水対策の啓発に携わる指導員の育成その他の生活排水対策に係る施策の実施に努めなければならない。
2 都道府県は、生活排水対策に係る広域にわたる施策の実施及び市町村が行う生活排水対策に係る施策の総合調整に努めなければならない。
3 国は、生活排水の排出による公共用水域の水質の汚濁に関する知識の普及を図るとともに、地方公共団体が行う生活排水対策に係る施策を推進するために必要な技術上及び財政上の援助に努めなければならない。
(国民の責務)
第十四条の六
 何人も、公共用水域の水質の保全を図るため、調理くず、廃食用油等の処理、洗剤の使用等を適正に行うよう心がけるとともに、国又は地方公共団体による生活排水対策の実施に協力しなければならない。 (生活排水を排出する者の努力) 第十四条の七 生活排水を排出する者は、下水道法その他の法律の規定に基づき生活排水の処理に係る措置を採るべきこととされている場合を除き、公共用水域の水質に対する生活排水による汚濁の負荷の低減に資する設備の整備に努めなければならない。
(生活排水対策重点地域の指定等)
第十四条の八
 都道府県知事は、次に掲げる公共用水域において生活排水の排出による当該公共用水域の水質の汚濁を防止するために生活排水対策の実施を推進することが特に必要であると認めるときは、当該公共用水域の水質の汚濁に関係がある当該都道府県の区域内に生活排水対策重点地域を指定しなければならない。
一 水質環境基準が現に確保されておらず、又は確保されないこととなるおそれが著しい公共用水域
二 前号に掲げるもののほか、自然的及び社会的条件に照らし、水質の保全を図ることが特に重要な公共用水域であつて水質の汚濁が進行し、又は進行することとなるおそれが著しいもの
2 都道府県知事は、生活排水対策重点地域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
3 生活排水対策重点地域の指定をしようとする地域に係る公共用水域が他の都府県の区域にわたる場合においては、都府県知事は、その指定をしようとする旨を当該他の都府県の都府県知事に通知しなければならない。
4 都道府県知事は、生活排水対策重点地域の指定をしたときは、その旨を公表するとともに、当該生活排水対策重点地域をその区域に含む市町村(以下「生活排水対策推進市町村」という。)に通知しなければならない。
5 前三項の規定は、生活排水対策重点地域の変更について準用する。
(生活排水対策推進計画の策定等)
第十四条の九
 生活排水対策推進市町村は、生活排水対策重点地域における生活排水対策の実施を推進するための計画(以下「生活排水対策推進計画」という。)を定めなければならない。
2 生活排水対策推進計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針 二 生活排水処理施設の整備に関する事項
3 生活排水対策推進計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、生活排水対策に係る啓発に関する事項を定めるよう努めるものとする。
4 生活排水対策推進市町村が生活排水対策推進計画を定めようとするときは、当該生活排水対策重点地域内の他の生活排水対策推進市町村と連携を図らなければならない。
5 生活排水対策推進市町村は、生活排水対策推進計画を定めようとするときは、あらかじめ、その生活排水対策重点地域を指定した都道府県知事に通知しなければならない。
6 前項の通知を受けた都道府県知事は、当該市町村に対し、生活排水対策の推進に関し助言をし、その推進に関し特に必要があると認める場合にあつては勧告をすることができる。
7 生活排水対策推進市町村は、生活排水対策推進計画を定めたときは、その内容を公表しなければならない。
8 第四項から前項までの規定は、生活排水対策推進計画の変更について準用する。
(生活排水対策推進計画の推進)
第十四条の十
 生活排水対策推進市町村は、当該生活排水対策重点地域内の他の生活排水対策推進市町村と連携を図りながら、生活排水対策推進計画に定められた生活排水対策の実施の推進に関する基本的方針に従い、生活排水処理施設の整備、生活排水対策に係る啓発その他生活排水対策の実施に必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(指導等)
第十四条の十一
 生活排水対策推進市町村の長は、生活排水対策推進計画を推進するために必要と認める場合には、その生活排水対策重点地域において生活排水を排出する者に対し、指導、助言及び勧告をすることができる。
 

水質汚濁防止法 第三章 水質の汚濁の状況の監視等

第三章 水質の汚濁の状況の監視等

 

( 常時監視)
第十五条

 都道府県知事は、環境省令で定めるところにより、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(放射性物質によるものを除く。第十七条第一項において同じ。)の状況を常時監視しなければならない。
2 都道府県知事は、環境省令で定めるところにより、前項の常時監視の結果を環境大臣に報告しなければならない。
3 環境大臣は、環境省令で定めるところにより、放射性物質(環境省令で定めるものに限る。第十七条第二項において同じ。)による公共用水域及び地下水の水質の汚濁の状況を常時監視しなければならない。
(測定計画)
第十六条
 都道府県知事は、毎年、国の地方行政機関の長と協議して、当該都道府県の区域に属する公共用水域及び当該区域にある地下水の水質の測定に関する計画(以下「測定計画」という。)を作成するものとする。
2 測定計画には、国及び地方公共団体の行う当該公共用水域及び地下水の水質の測定について、測定すべき事項、測定の地点及び方法その他必要な事項を定めるものとする。
3 環境大臣は、指定水域ごとに、当該指定水域に流入する水の汚濁負荷量の総量をは握するため、測定計画の作成上都道府県知事が準拠すべき事項を指示することができる。
4 国及び地方公共団体は、測定計画に従つて当該公共用水域及び地下水の水質の測定を行い、その結果を都道府県知事に送付するものとする。
(測定の協力)
第十六条の二
 地方公共団体の長は、前条第四項の地下水の水質の測定を行うため必要があると認めるときは、井戸の設置者に対し、地下水の水質の測定の協力を求めることができる。
(公表)
第十七条
 都道府県知事は、環境省令で定めるところにより、当該都道府県の区域に属する公共用水域及び当該区域にある地下水の水質の汚濁の状況を公表しなければならない。
2 環境大臣は、環境省令で定めるところにより、放射性物質による公共用水域及び地下水の水質の汚濁の状況を公表しなければならない。
(緊急時の措置)
第十八条
 都道府県知事は、当該都道府県の区域に属する公共用水域の一部の区域について、異常な渇水その他これに準ずる事由により公共用水域の水質の汚濁が著しくなり、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、その事態を一般に周知させるとともに、環境省令で定めるところにより、その事態が発生した当該一部の区域に排出水を排出する者に対し、期間を定めて、排出水の量の減少その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

有害物質貯蔵指定施設


 

水質の汚濁の状況の監視等 (常時監視)第十五条

継続監視調査の結果をみると、基準超過の井戸数が最も多いのは、
①硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素で、
➁砒素
③テトラクロロエチレン

 

水質汚濁防止法第15条第1項及び第2項、第16条に基づき、国及び地方公共団体では、毎年度、地下水質の測定を実施しています。
(1)主な測定項目
 地下水の水質汚濁に係る環境基準が定められている28項目
カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、砒素 など
(2)調査区分
地下水質の調査は、その目的によって以下の3つの調査区分に分類される。各調査方法については
参考資料3を参照。
① 概況調査
地域の全体的な地下水質の状況を把握するために実施する調査
② 汚染井戸周辺地区調査
概況調査又は事業者からの報告等により新たに発見された汚染について、その汚染範囲を確認
するために実施する調査
③ 継続監視調査
汚染が確認された地域について、継続的に監視を行うための調査
※ 本調査区分は、平成 21 年度から適用。各調査区分は、それぞれ従来の「概況調査」、「汚染井戸
周辺地区調査」、「定期モニタリング調査」に相当することから、各調査区分の経年的な比較は、
それぞれの相当する区分に対応させて比較した。

 

富栄養化した湖沼

富栄養化とは
海水や川の水にふくまれる栄養分が自然の状態より増えすぎてしまうこと。洗剤や農薬、肥料などにふくまれるちっ素やリンは、植物やプランクトンの栄養になる。
人為的な栄養塩の主要発生源
① 生活排水
➁ 工場排水
③ 農地からの肥料の流失及び畜産業排水 
富栄養化がもたらす被害
① 赤潮や水の華の発生による水産産業の被害
➁ 湖沼水の異臭、微生物の分泌する異臭で水道水の被害
③ 湖沼及び内湾の生活環境の悪化

 

 

植生による水質の浄化作用として特に有名なのは、ヨシとマコモです。
これらは両方とも抽水植物に分類されます。抽水植物とは、水位の浅いところに生える植物で、水底の土に根を張り、葉や茎は水面から上に出ているような植物です。


富栄養化した湖沼の水質に関する記述として,誤っているものはどれか。(R3年第8問より)

⑴ 光合成によって二酸化炭素が消費されると,pH は上昇する。
⑵ 表層に近い好気的な環境の下では,植物プランクトンの死骸などは微生物によって分解・無機化していく。
⑶ 水域が成層すると,表層から酸素が深層に供給されにくくなる。
⑷ 貧酸素化した底質で行われる嫌気分解は,好気分解に比べ効率が悪いので,完全に無機化されない懸けん濁だく態有機物が蓄積されやすい。
⑸ 底質が長期にわたり貧酸素状態となると,鉄やマンガンのイオン態の溶出,脱窒による窒素ガスの発生などが起こりやすくなる。

富栄養化指標及び富栄養化による障害の指標に関する記述として,誤っているものはどれか。(R1年第7問より)
⑴ 植物プランクトンの平均的な体組成の元素別割合は,大きい順に,有機体炭 素,りん,窒素有機体炭 素,窒素,りんの並びになる
⑵ 植物プランクトンにとって,窒素,りん,カリウムは三大栄養素であるが,カリウムは水中に豊富にあるため,窒素とりんが主な成長の制限因子となる。
⑶ 植物プランクトンの増殖は,無機物から有機物が生産されることから,一種の有機汚濁でもあるため,湖沼や閉鎖性水域では内部生産と称される。
⑷ 植物プランクトンの産生するミクロキスチィン‒LR の毒性は,シアン化カリウムよりも高い毒性(マウス腹腔内投与試験)を示す。
⑸ 植物プランクトンが産生する代表的な異臭味物質には,ジェオスミンと2‒MIB(2‒メチルイソボルネオール)がある。

 

好気分解と嫌気分解

・好気分解
好気分解は好気性微生物が酸素を使用しながら分解・増殖を行うことです。分解の過程で水・二酸化炭素といった無害な物質を生成します。
・嫌気分解
嫌気分解は嫌気性微生物の分解です。 分解の過程で硫化水素、メタンといった有害ガスを発生させる種類がいることで知られています。
・微生物分解の排水処理での応用
曝気槽は微生物に酸素を供給することで好気性微生物の分解を促進する槽です。 嫌気ろ床槽などの嫌気槽は、嫌気菌を定着させて、分解を行います。 それぞれ排水に合わせて使い分けがされますが、嫌気分解は有害ガスの発生や悪臭、ろ床の交換費用、引抜清掃など、多くの課題が目立ちます。曝気処理
 

有害物質の生体影響

金属の生体影響に関する記述として,誤っているものはどれか。(R3年第10問より)
⑴ 重金属に暴露されると生合成されるメタロチオネインは,重金属の毒性を弱める働きがある
⑵ 有害性金属が複合して生体内に作用する場合,それぞれの毒性が相加的,あるいは相乗的に現れることがあるが,逆に毒性が弱められることもある。
⑶ 有機水銀は塩化水銀(Ⅱ)に比べて生物学的半減期が長いため,排泄されにくい。
⑷ 有機水銀は血液-脳関門を容易に通過し,脳内に蓄積する。
⑸ 総金属暴露量が同一量であっても,一時に多量暴露した場合と,少量ずつ長期間の暴露の場合とでは毒性の程度は異なる。
金属の毒性に関する記述として,誤っているものはどれか。(R2年第9問より)
⑴ 同じ金属でも化学種によって毒性が異なることが多い。
⑵ 暴露経路によって毒性の発現が異なることが多い。
⑶ 一時に多量暴露した場合でも,少量ずつ長期間暴露した場合でも,急性、慢性でも有害度は同じではないので毒性の程度も変わります。
⑷ 複数の金属による複合汚染では,それぞれの毒性が弱められることもある。
⑸ メタロチオネインが生合成されると,重金属に対し解毒作用を及ぼす。
有害物質の生体影響に関する記述として,誤っているものはどれか。(H29年第9問より)
⑴ メタロチオネインは,カドミウムや水銀によって肝臓などで誘導生合成され,毒性を弱める働きをしている。
⑵ 化学物質の毒性を表現するものとして使用される LD50(半数致死量)は,急性毒性を中心に評価したものである。
⑶ メチル水銀は,血液脳関門を通過して,脳にも高い蓄積を示す。
⑷ 遊離シアンは,血液中でシアノヘモグロビンを生成し,ミトコンドリアの電子伝達系を阻害する。
⑸ 有機りん剤の毒性は,主にアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害することに起因する。
 

水質関係公害防止管理者が管理する業務

特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に規定する水質関係公害防止管理者が管理する業務として,該当しないものはどれか。(R2年第4問より
⑴ 使用する原材料の検査
⑵ 汚水等排出施設の補修は該当しません
⑶ 汚水等排出施設から排出される汚水又は廃液を処理するための施設及びこれに附属する施設の操作,点検及び補修
⑷ 排出水又は特定地下浸透水の汚染状態の測定の実施及びその結果の記録
⑸ 事故時の措置(応急の措置に係るものに限る。)の実施

 

 

水質汚濁の計算式

汚染物質の濃度(mg/L)はどの程度になるか(R2年第8問より)
河川の上流で汚染物質の濃度と流量は,それぞれ 5 mg/L,60 m3/s であった
下流のある地点で,濃度 10 mg/L の汚染物質が,流量 15 m3/s で定常的に流入してくるものとする。流入点より下流のある点で,汚染物質は完全に混合すると仮定したとき,汚染物質の濃度(mg/L)はどの程度になるか。ただし,汚染物質や流量の減少はないものとする。

 

水質汚濁防止法に規定する有害物質

水質汚濁防止法に規定する有害物質でないものはどれか。(R1年第2問より)

⑴ クロロホルム有害物質ではない
⑵ トリクロロエチレン
⑶ テトラクロロエチレン
⑷ ジクロロメタン
⑸ 四塩化炭素

次の有機塩素剤のうち,カドミウムその他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として,水質汚濁防止法施行令で定められているものはどれか。(H29年第6問より)

⑴ アルドリン
⑵ クロルデン
⑶ ディルドリン
⑷ PCP(ペンタクロロフェノール)
⑸ 1,3‒ジクロロプロペン

 

公害問題に関すること

 

汚水等排出施設

特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に規定する汚水等排出施設に該当しないものはどれか。(H29年第4問より)
⑴ 畜産食料品製造業の用に供する洗浄施設(洗びん施設を含む。)
⑵ 豆腐又は煮豆の製造業の用に供する湯煮施設
⑶ 電気めっき施設
⑷ 生コンクリート製造業の用に供するバッチャープラント
⑸ 砂利採取業の用に供する水洗式分別施設

特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に規定する汚水等排出施設に該当しないものはどれか。(H30年第4問より)
⑴ 畜産食料品製造業の用に供する湯煮施設
⑵ 新聞業の用に供する自動式フィルム現像洗浄施設
⑶ 米菓製造業の用に供する洗米機
⑷ 写真現像業の用に供する自動式フィルム現像洗浄施設
⑸ 電気めっき施設

 

溶存酸素量(DO)

大気中から水に溶け込んでいる酸素(O2) の量のことです。
水中の生物も人間と同じように酸素を必要としているので、DOが減少すると、水中の好気性微生物の活動が鈍って腐敗臭がするなど河川や海域の自然浄化作用が働かなくなります。また魚介類などの水棲生物が窒息死することもあります。
一般に河川などで悪臭が発生しないためには、DOが 2mg/l 以上、また、魚介類が生存するためには 3mg/l 以上が必要といわれています。
DOはBODなど他の汚濁物質の指標とは異なり、数値が大きいほど良好な水質となります。

水中の溶存酸素に関する記述として,誤っているものはどれか。(H29年第7問より)

⑴ 酸素の蒸留水への溶解度は, 1 気圧,水温 20 ℃で約 8.8 mg/L である。
⑵ 水温が低いほど,酸素の水への溶解度は高い。
⑶ 水中に酸素が溶け込むルートは,水面を通して大気から溶解するものと,水中の動物プランクトン自身は酸素は発生しない。
⑷ 閉鎖性水域の底層水の溶存酸素濃度は有機汚濁の指標となる。
⑸ 閉鎖性水域の底層において,溶存酸素濃度が極めて低くなると,硫化水素やアンモニアなどの悪臭物質が発生し,また一部の重金属が溶出しやすくなる。

 

生物化学的酸素要求量(BOD)

川などから採水した水を密閉したガラス瓶に入れ、20℃で5日間暗所で培養したときに、水中の有機物が好気性微生物により分解される過程で消費される水中の酸素量(溶存酸素量)のことで、河川における有機物による水質汚濁の指標となっています。

採水当日の酸素量と5日後の酸素量の差が、微生物に消費された酸素量となります。
川の中の微生物(細菌)が水中に存在する汚濁物質(有機物)を分解するときには、人が呼吸をするように酸素を使います。
有機物による水質汚濁が進んでいる場合は、水中に存在する有機物の量が多いので、微生物の数が増えて、微生物が有機物を分解するときに消費する酸素量も多くなります。
一方、川がきれいな場合は、有機物の量が少ないので、微生物が消費する酸素量も少なくなります。
そこで、この水中の有機物の量と微生物と酸素量の関係に着目して、水中の微生物が有機物を分解するときに消費する酸素量をもって、水中に存在する水質汚濁物質の量の指標としたものが、BODです。
清流などの場合は、水中の有機物の量が少ないため、BODの値は小さくなります。

汚濁負荷量とは
河川水を汚濁する物質の総量。汚濁負荷量=水質×水量によって計算。
水質汚濁は水質と水量に密接な関係があり,水質汚濁防止対策のためには,どれだけの汚染物質が入っているかという汚濁負荷量を正確に把握し,どれだけカットすれば河川がきれいになるかという削減負荷量を調べなければなりません。

水質汚濁負荷に関する記述として,誤っているものはどれか。(H29年第8問より)

⑴ 工場や事業場から水系に流入する汚濁負荷量は,流入水中の汚濁物質濃度と流量の積から計算される。
⑵ 工場や事業場,農地などで発生した負荷量を発生負荷量という。
⑶ 工場や事業場,農地などで発生した負荷が,水系に達した地点での負荷量を到達負荷量という。
⑷ 人の BOD 発生原単位は 500 g40g/(人・日)と見積もられている。
⑸ 工場からの汚濁発生量は,原料単位量,製品単位量,工場出荷額などを基準にして推定することもできる。

 

化学的酸素要求量(COD)とは

水中に有機物などの物質がどれくらい含まれるかを、過マンガン酸カリウムなど酸化剤の消費量を酸素の量に換算して示される。CODの値が大きいほど水中の有機物が多いことを示し、水質汚濁の程度も大きくなる傾向がある。
河川についてはCODではなく、微生物が有機物を分解する時に消費する酸素量を数値化した、生物化学的酸素要求量(BOD)の環境基準が設定されている。
湖沼や海域などでBODが設定されていないのは、水の動きが少ないために微生物が酸素を消費して有機物を分解するのに長い時間がかかるため。
CODの環境基準値は、湖沼のもっとも厳しいAA類型で1mg/l以下、海域のA類型で2mg/l以下と設定されている。
工場などの排水については生活環境項目として160mg/l日間平均で120mg/lの基準が定められている。
2012年度の公共用水域における環境基準の達成状況は、湖沼で55.3%、海域で79.8%となっている。